1 はじめに

 住生活基本法に基づき策定された福島県住生活基本計画において、基幹的取り組みとして【安全で安心できる快適な住まいと地域の形成-住まいのセーフティネットの充実】を掲げています。

 福島県居住支援協議会(以下「協議会」という。)は、住宅セーフティネット法(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律)第10条(現51条)の規定に基づき、福島県、県内市町村、社会福祉団体、不動産団体、商工金融団体、建築関係団体などが参加して、平成24年7月に設立されました。

 協議会では、これまで住宅確保要配慮者(低額所得者、被災者、高齢者、障がい者、子どもを育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者)からの民間賃貸住宅への入居に関する相談対応とともに、東日本大震災被災者及び原発事故避難者の住宅再建相談や情報提供を行ってまいりました。

 平成27年度には、保証人を確保できないなどの理由で賃貸住宅への入居が困難な方々の入居促進を図るため、不動産関係団体の協力を得て「あんしん賃貸住宅登録制度」を立ち上げました。また、協議会が進める地域の見守りネットワーク構築の一環として、会員のNPO法人による身元保証・家賃債務保証等のサービス提供により、住宅確保要配慮者の居住の安定確保向上に努めているところです。

 一方、住宅確保要配慮者の相談経過からは、支援を求めて不動産業者や行政機関等の窓口を渡り歩いた末に協議会に辿り着く様子が覗えます。協議会に相談される住宅確保要配慮者の多くは、住宅の確保のみならず、生活保護の受給や介護の対象者であるなど複合する支援が必要な方々です。協議会での相談対応においては、該当する支援窓口を検索した結果、再度同じ自治体の窓口を紹介するような事例もあり、必要な支援を受けられるまでに相当の時間を費やす場合が少なくありません。

 このことから、行政機関の福祉部局、住宅部局及び支援団体等が連携して住宅確保要配慮者の支援に取り組むことが喫緊の課題であり、被支援者が相談窓口において的確な助言の下に、居住の安定確保と必要な支援が速やかに受けられるよう対応策の一助として、相談ガイドブックを作成いたしました。

 この相談ガイドブックが、地方自治体はもとより支援団体機関等の窓口において有効に活用されることを期待するものです。

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