6 相談支援事例

低所得者の入居支援事例

事例① 低所得者の入居支援事例

 仕事で来県し、前居住地に帰る予定だったが、体調不良のため診療を受けたところ肺結核と診断され入院中のAさん(67才)。
 病院から退院を迫られていたが、住む場所が無く収入も無い。

入居支援前の状況

 市の生活保護課へ相談したが、「生保は受給可能だが住む所は自分で探すように」と言われた。
 身寄りは高齢の両親と息子が一人いる。しかし、遠隔地のため連絡を取っておらず、身寄りは実質的に無い状態。
 退院許可は出たが、結核患者のため行き先不明では退院させられないとのことから、主治医がケースワーカー(以下CWと記載)へ介入を依頼(支援を要請)した。
 AさんはCWともに1カ月以上物件を探したが、連帯保証人を確保できないため、どこの不動産会社へ訪ねても断られ、CWより当協議会へ代理相談となった。

入居に際しての課題

○家族、親族とも疎遠になっており連帯保証人を確保できない。

○出稼ぎのため、身近に頼れる知人がいない。

○不動産会社から、両親は遠隔地にいるうえ高齢の為、連帯保証人として認められないと言われている。

○60代後半での独り暮らしであり、かつ病弱なため、孤独死のリスクがある。

●入居に向けた対応策

○当協議会会員のNPO法人へ対応を依頼。

※1NPO職員がAさん及びCWと面談、状況の再確認とNPOが提供する※2身元保証等の有料サービスを説明し、了承をもらった。

○協議会で運営している「※3あんしん賃貸住宅」登録不動産会社数社に対し、AさんがNPOが提供する身元保証、家賃債務保証、葬儀、残存家財の片付けサービスを利用することで、入居契約が出来ないか交渉。

約1か月後、NPOのサービスを利用することを了承いただける大家さんが見つかり、
無事退院し入居することが出来た。

※1 「NPO」/NPO法人市民協福島「4.相談のながれ-フロー図」参照
※2 「3.協議会が行う活動」/「2)協議会会員の支援内容」参照
※3 「3.協議会が行う活動」/「1)協議会の支援内容」参照

低所得者の入居支援事例

事例② 高齢者の入居支援事例

 住んでいたアパートの契約期限が過ぎたため強制退去となり、
ホームレスとなったBさん(81才)。
 肺炎を発症し病院へ搬送、入院となった。

入居支援前の状況

 退院後の住宅を探さなければならず、収入が無いので当面生活保護を受給しようとしたが住所が無いため申請手続きができない。また、複数の不動産会社を巡るが、高齢独居で身寄りが無く連帯保証人も確保できないため、いずれも入居を断られた。Bさんから相談を受けていた市の福祉課から当協議会へ代理相談となった。

入居に際しての課題

○無職無収入。年金収入も無い。

○住所がないため、生活保護の申請ができない。

○国保税の滞納があり、社協の生活福祉資金を借りることができない。

○身寄りがなく連帯保証人を確保できない。

○市の福祉課からは介護保険適用の必要性はないとのことであったが、NPO職員がBさんと面談をした際に、認知機能等に疑問があったため、専門医の診察を受けた結果認知症が確認された。

○80代で高齢独居となるので、孤独死のリスクがある。

●入居に向けた対応策

○NPO職員がBさん及び自治体福祉課の担当者と面談のうえ、状況の再確認とNPOが提供する※4身元保証等の有料サービスを説明し、了承をいただいた。

○Bさんは病院を退院後、養護老人ホームへ一時入所し住所を確保、生活保護を申請し、受給可能となった。

○生活保護が受給可能となったことで、社協の生活福祉資金を借りることが可能となり、賃貸契約時の初期費用や生活用品を購入することができた。

○認知症専門医を受診し、認知症との診断を受けたことにより介護保険を申請、要介護2と判定された。

○不動産会社数社に対し、NPOが提供する身元保証、家賃債務保証、葬儀、残存家財の片付けサービスを利用することにより、住宅の入居契約が出来ないか交渉したが、認知症の高齢独居老人を理由に拒否された。

○この為、NPO法人の会員が運営している※5シェアハウスへ入居することとした。

住まいが確保できたので、ケアマネージャーに介護プランを作成してもらい、
ヘルパーさんによる生活サポートを受けている。

※4「身元保証等の有料サービス」/「3.協議会が行う活動」「2)協議会会員の支援内容」参照
※5「シェアハウス」/ 「4.相談のながれ-フロー図⑤※」参照